会員様インタビュー

[2017-07-26] 「会員様インタビュー」 No.021[有限会社新家青果 代表 新家春輝様]

「会員様インタビュー」 No.021[有限会社新家青果 代表 新家春輝様]

今回の会員様インタビューは、新家青果の新家春輝社長

にお話しを伺いました。

 

事務局:「新家社長、本日はよろしくお願いします。早速ですが、新家社長が

現在に至るまでの簡単な生い立ちを教えて頂けますでしょうか。」

新家社長:「生まれは淡路島の五色です。小学生の頃から父が営む玉ねぎ卸売

事業の工場に出入りし、23kgある玉ねぎのケースを運ぶのを手伝っていました。

そして1箱運ぶごとに1円の小遣いをもらい、きっちり貯金していたところ、

毎日約1,000ケースで23トン、毎月30,000ケース、1年でなんと30万も貯金が

たまっていきました。

さらに、当時は金融機関にあずけるだけで利子がつき、何もしないで

年間3万円ほどの運用ができ、これはすごいと思っていました。

さらに小学3年のころには両親がいない間に工場で『フォークリフト』を動かしはじめ、

その後父親に見つかったのですが、父親も『春輝、農家さん達の玉ねぎを

お前が運んでみろ』とやらせてくれ、

地方への納品の際には、『トラック』まで少しの距離ですが運転させてくれたのです。」

 

事務局:「小学生でフォークとトラックですか。すごいですね。」

新家社長:「はい。父のおかげもあり、そのころから取引先の農家さんからも

かわいがってもらいました。

その後中学・高校と進学し、高校卒業の頃から『淡路を出たい』という気持ちで、

大阪の『大原簿記専門学校』に入学し、大阪で1人で暮らしながら簿記の勉強をしました。

卒業後は一度実家のある淡路島へ戻ったのですが、父から『せっかく学んだ簿記を

実践してこい』と言われ、知人の税理士事務所で2年ほど経理・会計・税務の

手伝いをさせてもらいました。

その頃、父が病を患い透析が必要、とのことで、家族が集まり、父の跡を

誰が継ぐかの話の中で、長男ではなく、当時22歳の私が事業を継ぐこととなったのですが、

最初の仕事は、ずさんな会計をしていた同業者の8,000万円の売掛金の回収でした。

税理・会計の実践の経験のあった私は、その同業者の会計を徹底的に見直し、

約1,000万ほどまでは回収したのですが、経営者の根本的な意識は変えることができず、

最終的にはこの同業者を潰すしか方法がないところまでいき、この会社をたたみました。

そして26歳のころ、それまで個人事業主として経営していた父の事業を

『有限会社新家青果』として継承し、家族経営、社員10名の会社をスタートさせたのです。

 

事務局:「なかなか壮絶な経緯で会社の代表となられたのですね。」

新家社長:「はい。社長就任と同時に私自身がやりたいことを社員に伝えていったのですが

高齢の方も多かったこともあり、やりたいことが伝わりませんでした。

そんな中、2年前にも一度誘いを受けた『青年会議所』に加入し、島内の名だたる経営者達が

夜な夜な寝る間を惜しんで『淡路島の将来のことを真剣に話し合っている姿』をみて、

『自分ももっとやらないと』という気持ちとなり、当時自分1人で管理業務・営業など全ての業務を

やっていたところに事務員・営業マンを採用し、社長としてやるべき『会社の将来のことを考える』

仕事に時間を費やせるようになり、同時に『新家青果がやっていることは誰のためになるのか』

『高くても新家青果から買いたいと思ってもらうためにどうしたらよいのか』を考える中、

30年前には3,000haあった淡路島の玉ねぎ畑が当時1,500haにまで減っている

現状についてこの先どうなるのか真剣に考えた中で、

『儲からないから若い人が農業をやらない現状』という根本的な問題を解決する必要があることに気づき、

まずは自分達がはじめないと、と考え、それまで流通のみであった自社の事業に『玉ねぎ生産事業』を

取り入れることを決め、『やるのであれば淡路島で1番を目指そう』という想いのもと農業に参入しました。

そして、他社が真似できないような『玉ねぎの有機栽培』にチャレンジしはじめたのです。

 

試行錯誤と失敗を繰り返しながら有機栽培を続けるうちに、

自社の栽培した晩生の有機玉ねぎと、他の農園で栽培された晩生の有機玉ねぎとを

食べ比べしてもらう機会があり、

とある方々に比べてもらったのですが、とにかく味が圧倒的に違っていました。

その時気づいたのは、『同じ地域・同じ環境でも作り方で味が全く違う』ということ。

さらに別の方から『先日淡路島の玉ねぎを買って食べましたが全然甘くなかったです』

との話があり『自分達はただ作るだけでなく、食べ方まで伝えていく必要がある』ことに気が付いたのです。

その後、自社の玉ねぎの長年の商品開発の末、辛みを強く感じる『晩生』の玉ねぎのほうが、

甘さを強く感じる『早生』よりも実は糖度が高いこと、辛み成分は加熱することで約50倍甘くなる点

に着目し、加熱することで甘みが増す『あまたまちゃん』。

"長期鮮度保管を可能にする"次世代型の『氷感庫』の導入により実現した、

鮮度が長持ちしないため春先にしか食べれなかった『早生』が夏の暑い時期でも

生で食べられる『さらだちゃん』の商品化に成功し、おかげ様で多くのご注文を頂いています。」


事務局:「あのヒット商品にはそのような背景があったのですね。

新家社長ありがとうございます。それでは、次に、競合他社に対して

『圧倒的な御社の強み』について教えて頂けますでしょうか。」

新家社長:「はい、当社の強みは先ほどの『次世代型の氷感保存システム』

を所有していることと、"世界基準の農産物生産安全基準"

『GLOBALG.A.P(グローバルギャップ)』を取得していることです。

こちらは国内の玉ねぎ生産でみると、北海道に1社、西日本に2社、そして

淡路島には当社1社のみが取得しています。

当社も海外市場を狙うにあたり、世界で通用する安全基準をいち早く取得しました。

特にコストコ・カルフール・ウォルマートといった海外の大手小売店は、

国内のイオンやIYの小売店と違って販売する商品に対して何かあった際の責任を

取る必要もあり、取扱商品に対して厳しい基準を求めます。

そのような厳しい基準にも対応できるような自社の生産管理体制をもっているのが当社の強みですね。

また、2020年の東京オリンピック開催に向けて、海外選手に対する食事提供について

現在どの基準で食材調達をするか議論されていますが、「玉ねぎの供給」で考えると

開催時期が夏場であることから、北海道の玉ねぎは収穫がないため、GLOBALG.A.Pを

取得している西日本にある2社と当社の3社が競争優位性をもってくるとも考えています。


事務局:「新家社長、ありがとうございました。これからも御社の

『儲かる農業の仕組み』を淡路島の農家の方々に広めていく活動を心より応援させて頂きます。」


興味がある方は、よろしければお問合せください。

「有限会社新家青果」

本社住所:〒656-1321 兵庫県洲本市五色町鮎原中邑1005

電話:0799-32-0024

http://www.shinkeseika.co.jp/